インタビュー

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医師として治療を行うのはもちろん、患者さまの希望をかなえてあげることを目標にしております

「患者さまのお話をくわしくお伺いすることが、病気の発見にもつながる」と話す冨田院長。診察には十分な時間をとって、患者さまをせかさず、あせらせず、ゆっくりと話を聞くといいます。鈴鹿市の町医者として、二代目の院長として、医療にかける思いをお伺いしました。

日々の診療のなかで、とくに気を付けている事を教えてください。

「患者さまにお話しいただくこと」をなによりも大切にしています。いつ、どこで、どんなふうに、どんな症状があるのか、具体的にお伺いすることで病態がわかることも多いから、やはり患者さまのお話が重要なんです。

それと、なるべく患者さまの希望をかなえてあげられるように心がけています。たとえば「あんまり薬を飲みたくない」という方がいれば、飲む回数が少なくてすむものを選んだり、朝方に調子が悪くなるようなら夜1回の服薬にしたり、薬の量や種類、使い方をそれぞれの患者さまにあわせて考慮していますね。もちろんかなえてあげられないような難しいご要望もあるかもしれませんが、それでも、まずはお話をお伺いできたらと思います。

また、スタッフさんに患者さまへの対応で徹底しているようなことはありますか?

限られた診察時間のなかで、患者さまが医師にすべてを伝えられているわけではないと思うので、スタッフにも会話の大切さは伝えていますね。あとは、待合室でお待ちいただいている方の具合はどうか、よく注意して状態をうかがうこと。無理しているわけではないとしても、体調が悪くなって自分から言えないこともありますからね。そういう方には声をかけるように目を配ってもらっています。

医師になったきっかけは?また、その中で循環器を選択した理由は?

当医院は私の父が1979年に開業したのですが、その2年後に脳出血で倒れてしまったんです。当時このあたりでは手術ができなかったので、手術のために名古屋の病院に入院し、その後伊豆の専門施設でリハビリを行いました。

足を引きずりながらもなんとか父が診療を再開できたのは、医師仲間のサポートがあったからです。脳出血で倒れた際には病院の手配を、診療再開後には当医院の手伝いをしていただき、彼らがいなくてはなにも成り立たなかったのではないかと思います。

私たち家族を支えていただいたという彼らへの感謝の思いもありますし、自分が医師になって父の力になりたいという思いもあり、そのころ高校生だった私は、医師を目指したんです。父の体調もよくなかったから、私を医学部に行かせるのも大変だったと思います。そんな父の背中を見て、私も父と同じ循環器の道を選びました。

日本循環器学会認定 循環器専門医としてのやりがいを教えてください。

心臓や血管を扱う循環器内科では、どうしても救急疾患が多いものです。私たち循環器内科の町医者は、重大な病気が発症してしまわないように未然に防ぐこと、つまり患者さまを救急病院送りにしないことが仕事だと思っています。

だから、通院している患者さまの検査結果が改善したり、正常な数値に戻ったりするとやはりうれしいですね。循環器の病気をふせぐためには、血糖や血圧などの数値をコントロールすることが大切なので。

循環器と内科の専門医だからこそできる患者さんへの治療や予防などがあれば教えてください。

たとえば糖尿病と聞くと、一見心臓には関係ないような感じがしますよね。でも糖尿病は、心臓病ともかかわりがあるのです。たとえば、糖尿病は動脈硬化症を引きおこす要因となり、動脈硬化症は心筋梗塞を引きおこす危険性があります。

また、糖尿病は腎臓、目、神経にも合併症をおこすことがあります。循環器だけでなく、全身を診られるというのは、日本内科学会認定 総合内科専門医、日本循環器学会認定 循環器専門医という2つの資格を持っている強みかなと思います。

先生は月に数回医師会や基幹病院主催の勉強会に出ているとのことですが、なぜそこまでされる理由はなんでしょうか?

自分ひとりで診療しているだけでは、どうしても新しい情報を得ることが遅れます。 診療、研究の先端を行く大学や病院の先生の講演を直接聴くことで新しい情報を得ることができます。また、勉強会に出ることで当院から病院に患者さまをお願いするときに、担当の医師ともコミュニケーションがスムーズになりますから。

三重県では、医師間だけでなく診療所-病院間での連携も進んでいると思います。患者さまから同意を得たうえで、県内の複数の医療機関でカルテを共有できるシステムがあり、私たちもそれに参加しています。

2001年から2ヶ月に1度、院内通信を患者さんに配布しているとのことですが、始めたきっかけと患者さまの反応はいかがですか?

院内通信には、この季節に注意してほしいことだったり、新たにわかった病気に関するニュースだったり、患者さまに口頭では伝えきれないことをのせて、処方せんをお渡しするときに、みなさんにお配りしています。

医院のお休みや処方せんの有効期間など、病気以外の事務的なことを含めて、紙に書いたほうが理解してもらいやすいと思いますし、コミュニケーションの一助になればと思って始めたんです。もう100号を超えましたが、なかにはファイリングしてずっと取っておいてくださっている方もいて、作るのは大変なんですが、やめるにやめられないですよね(笑)。

地域医療で取り組んでいらっしゃることを教えてください。

近隣の中学校の学校医のほか、三重県鈴鹿保健所で毎月2回行われる感染症診査協議会に出席しています。この協議会は毎週第2、第4水曜日に開かれ、感染症患者の入院勧告や延長入院の必要の是非、就業制限の可否などの診査を行っています。

普段から気を付けたほうがよい点、生活習慣のアドバイスをお願いします。

適度な運動をして、規則正しい生活習慣を…というのは簡単ですが、実践するのは難しいものです。すぐにでも取り入れられるのは、腹八分目にして太らないようにということでしょうか。

それと予防接種や健康診断はしっかり受けてほしいですね。それぞれ病気の進行予防になりますから。健康に対する意識は若いうちはなかなか持てないかもしれませんが、遅くとも40歳以上になったら、毎年受診するようにしましょう。